自律走行型の案内ロボットや配送ロボットを国内で提供するNECネッツエスアイ株式会社(以下、NECネッツエスアイ)は、地方のお客様に納入したロボットの保守・メンテナンス業務において、電話によるヒヤリングや映像共有では問題事象の特定が難しいことに課題を感じていた。リモートでトラブル内容を正確に把握できる手段に「TeamViewer」を活用したことで、システム障害要因の被疑箇所を正確に特定できるようになるとともに、リモート対応も可能になり工数が半期で約80%圧縮。駆けつけ回数が減少しコストを大幅削減、サポート品質の向上とともに生産性もアップした。
将来的には、エレベータ・ドアの入退出システムや各種ロボットを全て管理・運用可能にする統合システム基盤を開発し、そこでもTeamViewerの活用領域を拡大していく考えだ。
そこで課 題となったのが、ロボットの 保守・メンテナンス業務の効率化だった。「ロボットはサーバや通信機器などの標準的なハードウェアとは異なり、まだ新しいアーキテクチャで機構部品も多いため、想定外のトラブルが発生することもあります。その際は、電話などで状況をヒヤリングするのですが、お客様による問題事象の特定が難しく、弊社エンジニアが現地に駆けつける必要があります。想定被疑を元にしっかり準備した上で現地に赴くようにしていますが、問題が解決しない場合は複数回訪問するなど、エンジニアの労力、移動時間、交通費などの負担が問題となっていました」と語るのは、NECネッツエスアイ 社会・環境ソリューション事本部 キャリアサポート&デリバリ事業部 スマートソリューションサービス部 飯久保 遼氏だ。
お客様の手を煩わせず、リモートでトラブル内容を正確に把握できる手段を探す中で、映像共有ツールも検討したが、ロボットがどのような状態にあるのかといった細かい情報を収集することが出来ないため導入には至らなかったという。そこで注目したのが、別の部署で活用実績のあったTeamViewerだった。「TeamViewerは複雑な設定が不要で、機種やOS を問わず利用可能であること、端末間の直接通信で負荷がかからずスムーズに作業できること、リモートから直接ロボットを操作することでお客様に負担をかけない運用が可能であることなどにメリットを感じました」(飯久保氏)
SAILとDELIはAndroid OSの 操 作パネル を搭載しているが、ロボットの自律走行の制御は別途用意するLinux PCのソフトウェアで稼働させている。ロボットの操作パネルで作業指示を与えるとLinux PCに伝えられ、起動コマンドが動くという 仕 組 み だ。TeamViewerはAndroidとLinuxの両方で使えるため、Linux側に格納されている行動範囲のマップ情報や利用履歴、トラブル発生時のログファイルを見たり操作したりできるほか、Android側からロボット本体のレーザーセンサーやカメラ類の状態を直接確認したりすることもできる。
TeamViewerは、保 守・メン テ ナンス 用 ツ ールとして本 格運 用されている。また、新たに中国Pudu Robotics製 ロ ボ ット もラ イン ナ ップに加わったため、その保守・メンテナンスにもTeamViewerを活用しているという。
さらに、繊細なインテグレーション作業(ロボットの初回導入時に現場環境内を実走させてマップを作る作業)にもTeamViewerを利用しているという。お客様の現場を訪問中のスタッフのPCにTeamViewerでリモートログインすれば、本社の専門エンジニアがWebインターフェース上で設定などを直接行うことができるため、高品質なインテグレーション作業が可能になった。「これからのロボティクス社会では人によるメンテナンス作業は避けられないため、TeamViewerの利用価値は無限にあると思います」と飯久保氏は指摘する。
NECネッツエスアイは、コミュニケーション・システムインテグレーターとして、企業、通信事業者、官公庁や社会インフラ事業者といったさまざまなお客さまに対し、幅広い情報通信システムをSIから施工・サービスまで一貫して提供している。事業創出力、全国対応力、技術力・信頼性という強みをさらに磨き、パートナーとの共創でお客さまの期待を超える価値を提供し続けるコミュニケーションサービス・オーケストレーターとして、より快適で便利なコミュニケーションが行われる豊かな社会の実現を目指し、さまざまな社会課題の解決を通じて世界と社会の持続的な発展に貢献する。
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