コカ・コーラ HBC 社では、TeamViewer Frontline を使用してピッキング作業を合理化し、現場のエラー率を低減させています

背景

コカ・コーラ社の最大級のボトラーであるコカ･コーラ ヘレニック ボトリング カンパニー（HBC）は、毎年 20 億ユニット以上を販売しています。倉庫の手順は、主に混合パレット ピッキングから構成されます。そこには配送トラックに積み込まれるクレート、シュリンク包装されたボトル パック、缶などが含まれます。コカ・コーラ HBC 社の倉庫のオペレーターは、日々の作業に紙のリストまたはタブレットを取り付けたパレット ジャッキと RF スキャナーを使用していました。

新しい、より効率的な倉庫ソリューションを検討し始めたコカ・コーラは、ギリシャ、テサロニキにあるコカ・コーラ HBC 社の配送センターでの試運用を皮切りに、産業用の拡張現実（AR）技術の調査を開始しました。複数商品の注文を集める 16 名のピッカー チームは、スマートグラスと TeamViewer Frontline のビジョン ピッキング ソリューション Pick を使用しました。

この試みは成功と判断され、コカ・コーラ HBC 社では直ちに AR への取り組みを強化しました。最初の試運用の開始と同じ年、2019 年にはさらに 6か所の倉庫への大規模な導入が行われ、2022 年には合計 29か所の倉庫へ導入され、2023 年には少なくとも 5 つの倉庫での稼働が計画されています。コカ・コーラ HBC 社の新たな標準倉庫技術はビジョン ピッキングにより実現されているのです。

課題

時代を先取りし、高い顧客満足度を維持するために、コカ・コーラ HBC 社は、プロセスの最適化を支援する新しい技術を常に模索しています。同社が追求する重要な要素の一つが、最高品質での配送です。倉庫業務にとってそれは、顧客へ配送する注文処理の精度に重点を置くことを意味します。

当初、ピッカーを支援するために使用されていた、紙や RF ガン、パレット ジャッキに搭載されたタブレットなどは、一貫性のない時代遅れの方法であり、非効率でエラーを招く要因でもありました。誤配送は顧客満足度へ悪影響を及ぼすだけでなく、大きなコスト要因にもなります。誤配送した注文が倉庫へ戻されるとともに、新しい注文を発送する必要もあるため、物流のプロセスには一次的に極端な負荷がかかってしまいます。すべてピッキングのミスが原因です。

最高の精度を得るために、コカ・コーラ HBC 社ではスマートグラスを採用し、倉庫での混合パレット ピッキングの精度を向上させました。コカ・コーラ HBC 社は、労働力不足に対応するために、倉庫業務の生産品質だけでなく、生産性の向上も目指しました。

ソリューション

プロセスの最適化と標準化を実現するために、コカ・コーラ HBC 社は業界での実績がある TeamViewer Frontline ソリューションの Pick を、堅牢なスマートグラスの RealWear と組み合わせて使用することにしました。ピッキング作業者の視界の中に、ピッキングするアイテム、位置、数量が表示されます。ピッキング位置が正しいことを確認するために、パレット上の QR コードを、スマートグラスのカメラでスキャンします。ピッキングの量は音声コマンドで確認されます。これによりピッカーはハンズフリーとなり、ドリンクをパレットに置くなどのタスクに取り組むことができます。注文はステップバイステップで表示され、注文情報はコカ・コーラの SAP 倉庫管理システムから直接引き出されます。

バックエンドの統合は、すべての注文ステータスの自動更新を可能にします。バックエンドシステムへの完全統合は、TeamViewer とコカ・コーラ HBC 社のシステム インテグレーターとの緊密な連携により実現しました。

導入の初期段階を通じて、プロジェクトの成功には、実際に仕事をする人の積極的な参加が不可欠であると考えられました。全体としてアジャイル アプローチが採用され、TeamViewer のソリューション デリバリーとカスタマー サクセス チームによる稼働後のサポートを常に伴いながら、ソリューションの改良を重ねていきました。これにより、容易にスケールアップできるソリューションのテンプレートができ、その後の大量ロールアウトが容易になりました。現在すでに 17か国で 1,000 名以上のピッカーが複数のシフトで業務を行っています。

結果

ビジョン ピッキング ソリューション導入後、たった 2ヶ月で、コカ・コーラ HBC 社のピッキング精度は 99.99% まで向上し、エラー率の低減という目標とともに、顧客満足度の向上や返品コストの削減も実現しました。ピッキング精度は、コカ・コーラ HBC 社が改善を目指していた主要な KPI の一つでしたが、同時に 10% の生産性向上を達成させることも、特に労働者不足が続く欧州市場においては不可欠なことでした。

従来の方法（RG ガンとハンドヘルド端末）と比較し、ビジョン ピッキング導入は、ハードウェア コストの削減と CAPEX の改善を実現し、コストを要する倉庫インフラの変更を頻繁に必要としなくなりました。

優れた点は？ ピッキング作業者は新しいソリューションに満足しています。導入前は、ピックバイボイス ソリューションやその他の技術のテストも行いましたが、結果として、ビジョン ピッキング ソリューションが優れていることは明らかでした。視覚的な合図、ボイス インタラクション、容易なスキャニングを搭載した Frontline の Pick ソリューションの高度な直感性と、生産性の即時向上により、高い従業員のエンゲージメントと導入率を実現しました。既存の従業員が新しい方法へ迅速に切り替えられただけでなく、新スタッフのオンボーディングをスピードアップさせ、コカ・コーラ HBC 社は季節的な需要の変動へ柔軟に対応できるようになりました。